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ある時、ポメラニアンの子犬が入荷しました。子犬が入荷すると、まず検便検査をするのですが、その時そのポメラニアンからパルボウイルスが発見されました。
そのポメちゃんは、すぐに他の子犬から隔離されましたが、これといった治療はすぐに施されませんでした。
私は入社の面接の時、上司から「こういう職場にいると、当然生き物の死とか病気に直面する。一個人としては出来る限りの治療をしてあげたい。しかし、企業としては一頭一頭にそこまで経費をかけられないのです。」と言われたのを思い出しました。

ポメちゃんは日に日に症状が悪化していき衰弱してしまい、餌も食べられなくなってしまいました。
それまで堪えていた女性の店長は、遂に、私を面接したその上司に「なんとか病院に連れて行かせては貰えないでしょうか」とお願いをしました。
普段ならまずOKが出ないところを、店長は頼み込んで、上司のOKを貰い、私は弱りきったポメちゃんを大事に箱に入れて病院に連れて行きました。
その時にはもう、助かる保障はないとの事でした。
でも少しでも良くなるかもしれないという希望があるならばと、ポメちゃんには点滴を打って貰い、私は点滴をぶら下げながらポメちゃんをお店に連れて帰りました。
お店はとっくに終わってしまっていたのですが、心配してたお店の人と、テナントを貸して頂いてるホームセンターの店長さんが事情を聞いて待っていてくれました。
しかし、夜間は誰も入ってはいけなかったので、私たちは不安と心配を抱えながらも、ポメちゃんを置いて帰らなければならなかったのです。

隔離室には他の子に感染する恐れがあるので、決められた人しか入れませんでした。
翌朝、ポメちゃんはまだ生きていました。
その日は私は小動物の担当だったので、その後ポメちゃんの部屋には立ち入りませんでしたが、お昼過ぎ頃、ポメちゃんが死んだという話を聞きました。

現場で働いてる人はみんな、動物が好きだから働いているんです・・・・だから、例えそれが「商品」だって自分ちのペットと同じように愛情持っているんです。
だから、みんな泣いていました・・・・お客さんの見えない所で泣いていました。

もし、自分のペットが死んでしまったらどうしますか?
火葬しますか?それとも土に埋めてあげますか?
火葬はお金がかかるから、会社の方で費用出してくれる訳ないですよね。
だからといって、そこら辺に埋める訳にもいかないですよね。

翌日、私は、ポメちゃんの遺体が入ったダンボール箱を店長から手渡されました。

遺体は、衛生センター(ゴミ処理場)に持って行くのです。
その時は私は「あ〜、この中にポメちゃんが入っているんだ・・・・」とそれ以上何も考える事が出来ませんでした。
衛生センターの駐車場に車を停めて、ダンボールを抱えて受付に行くと、係の人が「じゃあ、こっちだから」と私を先導して歩き出しました。
「じゃあ、あそこに投げて」と係の人が指差した先を見ると、その先には大きくて深い穴がありました。
横からはどんどんゴミの集積車が入って来て、その大きな穴の中に集積したゴミを投げ落としています。
「あそこなんですか?」近づいて穴の中を見下ろすと、落ちたらまず自力では上がれないような谷底に、ゴミ集積車からおろされたゴミがびっちりと埋め尽くされていました。
私は、ダンボールを持つ手が震えました。
なんか頭が真っ白になって・・・・。
「その辺から投げればいいから」係の人が言いました。

その言葉に急かされて、ダンボールは私の手を離れました。
落ちるスピードは一瞬だったのに、私にはその時間がすごく長く感じて、ドスッという軽い音がして、ポメちゃんの箱はゴミ袋の山の中に埋まっていました。
そして、その間にも、横からは集積車がどんどんゴミを投げ落としています。

頭が真っ白になりながら、駐車場に戻りました。
そして、車に乗ってエンジンかけようとした瞬間、ほんの数分前の出来事が、何度も何度も頭の中によみがえり、私は急に涙が止まらなくなってしまい号泣しました。

商売としてやっている以上、会社の利益や損失を考えると火葬も土葬も無理な事は解っています。
だからこそ、どうする事も出来ない事が悲しくて辛くて・・・・。
私は当時子犬を担当してなかったので、ポメちゃんと接したのはほんの数回でした。
でも「頑張れ〜ポメちゃん、頑張れ〜」って声かけながら病院まで連れて行って、待合室でもずっと「ポメちゃん頑張れ〜きっと良くなるからね、頑張れ〜良くなったらきっと良い飼い主さんが見つかるからね」ってずっと声かけて、そんなわずかな思い出がすごく大きく膨れ上がりました。
なんで、私が今回この役目を引き受けたかと言うと、私が一番ポメちゃんと接する機会が少なかったからです。
以前、衛生センターに行った人は、1時間以上もその場所でずっと泣いて立ち尽くして、その後体調を崩すくらい立ち直れなかったそうです。

お店に戻った私の顔を見て、泣いたあとがバレバレだったんでしょう・・・・「辛い事頼んじゃってごめんなさい」って言われました。

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もな工房別棟 秘密の地下室
お店の子犬が死んじゃった時

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